通貨選択型の仕組みやカラクリを解説

為替プレミアム狙いで人気!通貨選択型投信が危うい理由

通貨選択型ファンドが人気を集めている。その多くが毎月分配型であり、しかも分配金が以前からある外債ファンドよりも高水準であることが大きい。しかし、これだけ売れているにもかかわらず、通貨選択型ファンドの仕組みをきちんと理解している投資家は少ない。じつのところ、通貨選択型ファンドの仕組みは複雑だ。それを理解するには、まず外国為替の基本的な仕組みについて押さえておく必要がある。

 

外国為替レートは1ドル80円で取引されている」。ニュースなどで使われる表現だが、この「今日のレート」とは厳密にいえば、今日のドルと円の交換レートのことではない。「スポットレート」といわれる、銀行の「翌々営業日受け渡し」の為替レートのことなのである。個人投資家に人気の外国為替証拠金取引、いわゆるFXで提供されているレートもこのスポットレートである。FXのひろがりによってこのスポットレートという名称も今後、広がっていくであろう。

 

たとえば7月25日のドルと円のスポットレートといえば、7月25日に契約された、7月27日受け渡しのドルと円の交換レートということだ。国為替市場ではスポットレート、つまり銀行の翌々営業日受け渡しのレートだけが取引され、決められているかというと、そうではない。同時に1ヵ日月先、3力目月先、6ヵ口月先、1年先など、受け渡し時点の異なる為替レートが無数に存在し、取引されているのである。

 

この将来時点で受け渡しが行われるレートのことを「フォワードレート」と呼ぶ。じつは為替レートはスポットレートという「占じだけが存在するのではなく、フォワードレートと合わせて「線」として存在するのである。

 

ならば、このフォワードレートは、どのようにして決まるのか。時々の需給によって影響を受けるものの、基本的にはそれぞれの通貨の国の金利に応じて決まる。たとえば、仮に米国の金利が5%、日本の金利が1%、スポットレートが1ドル=80円だとしよう。

 

そこで日本円を借り、これをドルに替えてドル金利5%で運用したうえ、将来、1ドル=80円でドルを円に替えられるとしたら、誰でも確実に、簡単に儲けられることになってしまう。そこで、フォワードレートは、こうした金利取引でリスクなしに儲けることができないような水準で決まることになる。

為替の受け渡しレートは金利によって決まる

こうした取引は「金利裁定取引」と呼ばれる。AとBの二つの国があり、為替レートは変動制であるとすると、両国通貨のスポットレートとフォワードレートのあいだには、次の関係が成立する。スポットレート×(1十A国金利)=フォワードレート×(1十B国金利)

 

つまりは、A国通貨をB国通貨に替えて運用した場合とA国通貨でそのまま運用した場合とで、期待リターンに差がなくなるようにフォワードレートが決定されるのである。円ドルとブラジルレアル・ドルレートについて、フォワードレートのイメージを示したものだ。

 

ここで大事なのは、円ドルレートは受け渡し時点が先に行くほどドル安・円高に、ブラジルレアル・ドルレートはドル高・ブラジルレアル安になる点である。つまり、フォワードレートはスポットレートに比べて、低金利通貨に対しては低金利通貨高・高金利通貨安に、高金利通貨に対しては低金利通貨安・高金利通貨高となるのだ。

 

このスポットレートとフォワードレートの差は、為替の「スワップレート」といわれ、二つの通貨間の金利差に相当する。繰り返しになるが、フォワードレートは基本的に需給によって決まるのではなく、金利裁定がほぼ確実に働くことで決定されることを頭に入れておいてほしい。

 

後述するように、通貨選択型ファンドが高い分配金を出すカラクリが、こうした仕組みに隠れている。鼠閉 貨選択型ファンドがややこしいのは、ファンドとしての通貨が、主要投資対象としている資産の通貨とは異なる点である。

 

実際のファンドの投資対象は、ハイイールド社債や新興国債券、CB(転換社債)、米国REIT、高配当株、資源株、さらには原油や金などの商品先物価格(連動債を含む)など、さまざまなバリエーションがある。これらの資産はそのほとんどが米ドル建てだ。

 

一方で、ファンドの通貨の種類は円と米ドルだけでなく、ユーロ、豪ドル、ブラジルレアル、南アランド、インドネシアルピー、トルコリラ、メキシコペソ、中国人民元などの高金利通貨、さらには資源国やアジアなど複数の通貨をバスケットにしたものまで、多岐にわたる。